2011年8月24日水曜日

制度と経済成長:Acemoglu御大かく語りき2


国の豊かさの違いを説明する時に引き合いに出されるのは、物的資本・人的資本・技術・市場の質であると前回書いた(コチラ、資料はコチラのPDF)。
ではなぜ、貧しい国の人々はなぜ富める国になるために物的資本や人的資本を蓄積し、技術進歩を推奨し、望ましい市場を持たないのか?できないのか?

  • We need to understand why poor countries don't save enough, don't invest enough, don't develop and use technologies and don't have functioning markets. 
  • Potential answer: differences in incentives.


Acemogluによるとその答えはインセンティブにあり、そのインセンティブを形作るのが Institutions、つまり制度だそうだ。 では、制度とは何を指しているのだろうか?



  • Institutions: the rules of the game in economic, political and social interactions.



彼は経済活動などを行う上でのルール一般を制度と呼んでいるようだ。代表的なものは法律だろう。すでに近代的な法律が整備された世界に住んでいると気がつかないかもしれないが、財産権が保障されていないような国でまともな経済活動ができるだろうか?少なくとも私はごめんだ。

望ましい制度が整備される事によって人々は望ましい経済活動を行うインセンティブを持つようになり、それによって経済成長が促される。長期的な経済成長格差を説明するfundamentalな要因は制度であると言いたいらしい。


ひとつ例を出して結びにしよう。




彼が引き合いに出しているのは、所有権を保護を目的とする制度と対数をとった一人当たりGDPの相関だ(彼のスライドp7から拝借)。奇麗に正の相関が認められる。制度と豊かさの関係はどうやらクサいってわけだ(もちろん、アカデミックな論文で相関じゃなくてcausalityも検証しているよ)。

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