2013年8月13日火曜日

DCF法とAPV法の選択

企業価値評価を行う方法で最も広く使われているのはDCF法と言って差し支えないと思いますが、何でもかんでもDCFすりゃいいと言う話でもなく、それぞれの企業価値評価手法で置かれている前提が何で、当該案件でその前提の妥当性はあるかどうか考えるのも重要ですねって話をしたいと思います。

何回かに分けて、資本構成に関する前提と、それに関連してAPV法を見て行きたいと思います。

■DCF法の算定方法

DCF法では、ざっくり言ってこんなステップで評価を行います。


  1. 対象企業の事業計画から各年度のFCFを見積もる
  2. WACCを算定する(WACCの算定自体で一本エントリーが出来てしまうので今回は割愛)
  3. FCFをWACCで割引き、現在価値の総和を算定する(=事業価値)
  4. Net Debt (=非事業資産-有利子負債)を算定する
  5. 事業価値からNet Debtを差し引く(=株主価値)

今回取り上げるのが資本構成に関する前提事項で、このステップで言うとSTEP2とSTEP3に関連します。

WACCは、株式と負債の資本コストの加重平均です。資本構成によってそれぞれウェイトが付けられます。例えば、負債40%と株式60%で資金調達している会社の場合は、下記の通り算定されます。

WACC=0.4×(負債コスト)×(1-実効税率)+0.6×(株式資本コスト)

ざっくり言って上記がSTEP2に当たるパートですが、問題はSTEP3です。
通常DCF法で算定を行う際は、来期のFCFもこのWACCで割引きますし、以降の年度も同様にこのWACCで割引きます、無限期先でも同様です。

将来に渡り同じWACCを使い続ける事が何を意味するかと言うと『将来に渡り対象企業の資本構成は一定である』と言う事をDCF法ではあんに前提としているのです。

さて、この前提にたった時に、どんなケースでどんな問題が発生するでしょうか。
ポイントは負債調達による節税効果の価値です(答えを言ったようなもんか)。

次の記事でAPVに絡めてこの辺について書きたいと思います。