2011年12月31日土曜日

今年の十冊

今年は対して本を読めなかった一年だった。取り敢えず印象に残っているものを更新してみよう。



■ハチはなぜ大量死したのか




2005年以降、北米では養蜂がコロニーごと全滅もしくは失踪してしまう事件が発生している。この本は、家畜としてのミツバチを取り巻く自然環境、生育環境がどんなに深刻なものかが克明に記録されている。

当然といえば当然なのだが、みつばちの激減は採取できる蜂蜜の現象というよりも食料生産に決定的なインパクトを与えるようだ。なにせミツバチが居ないと私たちの食卓を彩る果物たちを効率的に受粉させることが出来ないからだ。

環境問題、食料生産などに興味のある人ない人のめりこめるだろう。




■マリファナはなぜ非合法か



「マリファナは合法化すべきだ!」
完全に釣られた。しかし、面白かった。
なぜだと思う?是非読んでみて。


■恋


元々、小説は殆ど読まない方だったが今年付き合っていた恋人が非常に読書家でその影響で今年は沢山小説を読んだ。その子が進めてくれた最初の本がこれだった。小池真理子が直木賞をとった作品。

倒錯的な恋愛と飾り過ぎずしかし非常に洗練された風景描写が印象的だった。




■死神の精度




主人公死神、人間の姿をしてターゲットに近づき七日間共に過ごし、その人間が死ぬべきかどうかを決める。そんな死神と6人の候補者が現れる短篇集。

テーマは死だが、コミカルであったり、寂しかったり、あたたかい気持ちになったりする。
最後の話で物語が一気につながり、思わず晴れやかな気持ちになってしまう。



■ハゲタカ


何の気なしに手にとってみたらのめり込み過ぎて一気にハゲタカ、ハゲタカ2、レッドラインと読みきってしまった。作品が進むたびに話が広がりすぎて純粋に金融スキームや駆け引きでワクワクする感じが薄れてしまうので、やはり一作目がオススメか。

企業買収の攻防、熱くなる!



■惡の華


漫画を一冊だけ。やられた。いいから読んでみって。





■マネーの進化史



信用制度、債権、株式、保険、不動産と金融商品にまつわる5つの章で構成される。様々な金融商品、システムが歴史的要請に従いどの様に生起してきたのかを綴っている。
改めて金融というスポットライトを当てて16世紀以降の世界史を眺めると、戦争を始めとする政治的な要請により金融が発展してきた事がよくわかる。
中々、濃い一冊。



■ルワンダ中央銀行総裁日記 増補版




個人的には今年一番気に入った本。途上国の開発に携わりたいと考えている人には是非手にとってもらいたい。
国際開発と言うと世銀や国連とまでは連想する人が多いだろう。さらに、貧しい人を救いたいと言う心からこうした道を志す人も少なくない。しかしながら、杜撰な経済運営により困窮している国が一体どうやって建てなおされるのかイメージを具体化するのは難しい。そんな人に是非手にとってほしい。

基本的なマクロ経済学、国際経済学、銀行業務を心得ている職員が国内に全くいないルワンダに飛んだ服部がその経済の立て直しに奮闘する様子が具体的に描かれている。

BOPビジネスや経済発展に関わるソーシャルビジネスに色めき立つ方々にも配りたい。

■夜は短し歩けよ乙女



森見登美彦を初めて読んだ。この本が一冊目でハマり、その後数冊読んだけれども今のところ森見登美彦はこれが一番好き。

独特の言い回しは好き嫌いが分かれるが僕は直ぐにはまってしまった。古めかしい装いの文体、うだつの上がらない男子大学生の気だるい日常、そして魅力的な女の子。彼の小説の殆どのがこの繰り返しだ。この本の終わり方はやや小っ恥ずかしく無理やりな印象を抱くが、それを補って有り余るほど、カラフルに描かれた京都の情景が素晴らしい。ぼくだって京都の夜をフラフラと散歩して回りたく成る。

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