2012年2月18日土曜日

不買運動は児童労働を減らすのか?

と言うタイトルの論文を発見したので簡単に紹介しよう。
Journal of Development Economics 2009
Volume 88, 2009, 217-220
"Is product boycott a good idea for controlling child labor? A theoretical investigation"
Kaushik Basu and Homa Zaghamee
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0304387808000850
途上国の児童労働によって生産された製品を買うのは控えようと言う不買活動は先進国を中心に度々目にする。彼らは児童労働削減を訴えかけて不買活動を行っている訳だが、この不買活動は本当に児童労働を削減する効果があるだろうか?

 この論文は比較的リーズナブルな仮定のもと、児童労働によって生産された財に対する不買活動は児童の労働供給を増やしうる事を理論的に示している。

児童労働を投入して作った製品A(例えば、ウズベキスタンの綿花なんかかな)と児童労働を投入せずに作った製品Bがあるとする。一部の人々が綿花Aに対して不買活動を行った時、綿花Bの価格は相対的に上昇するだろう(綿花Aの価格が相対的に低下)。

この時、綿花Aの生産に携わる家計がもらえる賃金は下がってしまうだろう。しかしながら、綿花Aの生産に従事している家計にだって最低限食ってくだけの賃金ってものが必要だ。しょうがないから何をするかって、より低い賃金でより多く労働供給することで最低限食ってくだけの金を稼ぐしかなくなるのだ。そのため、児童労働によって生産されている財に対する不買活動は自動の労働供給をより増やしてしまう事が有りうるってわけ。

http://foreignpolicyblogs.com/2008/01/28/uzbek-cotton/

4ページほどの短い論文でシンプルなロジックなのでそんな気もするんだけど実証的にはどうなんだろうと思うのが自然な感想だろうか。

少なくとも児童に労働供給させずに家計が生計を立てられる様な仕組みを考えたり、児童に労働させるよりは人的資本投資した方がリターンが高くなる様な環境を考えない限りは不買活動をしただけでは児童労働は減りませんよってのはある程度納得感はある。

そもそも児童労働を減らすべきかどうかはまた別のトピックではある。

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