2012年2月16日木曜日

XX学って役に立つの?



「XX学って役に立つの?」とはtwitterでもまま目にする主張だ。肌感覚で言うと、こうした主張の殆どはそのXX学に対する理解不足から生じている。

学部で学ぶミクロ経済学を例にとってみよう。学部の講義でサラッと齧っただけで社会とやらに出ると確かに「役に立つの?」となるかも知れない。色んな理論はよりシンプルなものから始め、徐々に複雑なモノが教えられる。物理だと最初に摩擦0の世界を想定するだろうし、ミクロ経済学だと完全競争市場から始めるだろう。しかし、こうした世界は現実の世界とは程遠い(様に感じるだろう)から、役に立つのか分からなくなる。こうした理論は物事の仕組みを単純化して理解を促すし、理想的な環境とはどんなものかと言う物差しを与えてくれる。確かに現実にそぐわ無い仮定に立脚しているかもしれないが、これで現実をうまく説明し切る事が出来ると考えている人も少ないだろう。

より上手く現実を説明したければ、実は役に立たないと思っている人達はもっと先まで勉強しなくてはならないのだ。



現実の世界には独占や寡占が存在する。それを分析したければナッシュ均衡を始めとするちょっとしたゲーム理論の概念を覚えなくてはならない。研究開発と技術進歩、ならびにそれらに牽引される経済成長を分析したかったらちょっとした最適制御理論を勉強しなくてはならない。

そう!ある種XX学に懐疑的な彼らこそ彼らの言う『現実』と言うものを上手く説明するためには、もっともっとXX学を学ばなくてはならないのだ。ある意味で『XX学って役に立つの?』と表明する事は『わたしはその分野に関して無知に近いです』と表明する事に近い。

IOの専門家のVarian先生なんてGoogleで働き出して久しいし、マイクロ実証のスター研究者 Bajari も休職してAmazonで働き出すみたいだ。 統計もしくは統計を応用する周辺分野で博士号を取得したひとの賃金もアメリカにおいては上昇してきている。みんなが大好きな apple にだって競争政策や独占・寡占を専門とするエコノミストがいるかもしれない。

ある学問を『現実に役立てる』には、相当な人的資本投資が必要なようだ。でも、もしかしたらそういう所に本当にクールで代替のきかないヤリガイある仕事がおっこちているのかもしれない。

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