2011年8月24日水曜日

【研究メモ】制度のproxy

Sambit(Journal of Comparative Economics, 2009) Unbundled institutions, human capital and growth

実証上institutionsのproxyに何を使うかが簡潔にまとめられていたのでメモ。


Rodrik(2005)ではinstitutionsを4つに分類している。


  1. market creating
  2. market regulating
  3. market stabilising
  4. market legitimising

Rodrikの分類に従い、それぞれに代理変数を立てて実証を行っている。



■Market creating

  • 何?:財産権保護、契約履行を担保する制度。
  • proxy: the ICRG law and order index

Market Creatingの要素は protecting property rights と enforcing contract の2つ。
先行研究でmarket creatingのproxyに採用されていたものは4つある。

  1. law index of Rodrik et al.(2004)
  2. expropriation risk of Acemoglu et al.(2001)
  3. executive constraint of Acemoglu and Johnson(2005) → property right institution
  4. legal formalism index of Acemoglu and Johnson(2005) → contracting institutions

ICRGを使う理由は

  1. 入手可能なデータの期間が長い(動学パネルにつかいたい)
  2. Contracting institutions の proxy が十分な長さを持ったパネルでみつからなかった

契約履行を担保する制度のproxyとして望ましいのは、契約履行させることに関わる費用である。
Acemoglu and Johnson(2005)では legal formalism を使っているがこれはパネルでは手に入らない。


ICRGはパネルで手に入り、かつ property rights と contract いずれも含んでいる指標。
本当は、それぞれ分けてproxyをたてたいが。




■Market regulating

  • 何?:市場の失敗を防ぎ、持続的な経済成長を促進するような制度
  • proxy : Gwartney and Lawson's (2005) composite index of regulation


■Market stabilising

  • 何?:インフレ圧力を抑制したり、マクロ経済のvolatilityを最小化したりするための制度
  • proxy : Gwartney and Lawson's (2005) sound money index

例えば中央銀行や為替政策、財政政策など。



■Market legitimising 

  • 何?:再分配、社会保障などに関する制度。 idiosyncraticなリスクに対して保険とも言える。
  • proxy : the Polity IV democracy index


以上。

ちなみに既存研究だとinstitutionsのproxyはこの4分類ではなくて、property rights institutions と contracting institutions だけを入れて実証していたりする。たとえば Acemoglu and Johnson(2005) など。

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