修士課程まで進学して民間に出るのであれば、抽象的で実務には役立たない経済学なんて専攻せず、ロースクールやMBA、会計職大学院など直接的に役立つ分野に二年間を投じたほうが懸命だったのではと思う方も多いでしょう。コンサルティング業界なんてものに進むなら尚更でしょう。
しかしながら、こうした抽象的な(実際には統計的な分析も行うので現実に則したものですが)分野だからこそ、そこで身に付けられる考え方は適用範囲が広く頑健で陳腐化しにくいものだと感じています。
学位記授与式で研究科長も同様な事を仰られていました。法律や会計、経営学が研究対象としているもの全てを対象とするのも方法論で定義される経済学の特徴でしょう。ある社会現象が発生するそのメカニズム自体を対象とする点、最適を定義し一貫性を持って強いロジックを作れる点を強調するあたりは流石にミクロ経済学者だなあと感じました。
僕の周りには研究者としてやっていくと決心しきれないために大学院に進むことを迷っている人がそこそこ居ます。そう云う人は、二年間の学費をファイナンス出来るなら進学してみてはどうだろうかと思います。なぜなら、進学してみてこそ研究者を目指す道がどれほど大変かも実感するでしょうし、人によっては学部の段階で思っていた以上にのめり込む人もいるでしょう。修士の段階ならある程度の大学院であれば、今の日本の労働市場では博士ほど致命的でもありません。
ある学問を学ぶときにそれが役に立つかどうか、随分矮小な話をしてしまった感もありますが、シンプルにもっとこの分野を勉強したい!と言う風に思えたことが進学の一番の決め手だったのかも知れません。その気持を汲みとって進学を許してくれた両親に感謝したいと思います。
さて、四月からは全く違う生活が始まる訳ですが一体どうなる事やら。
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