2012年2月6日月曜日
アメリカはその地位を中国に明け渡すか? Acemoglu Interview (1) Innovation and Prosperity in the U.S.
Daron Acemoglu は MIT で経済学を教えている教授で、AER や QJE, JPE など一流のジャーナルに物凄い数の論文を掲載しまくっている研究者。経済成長理論や労働経済、政治経済学などを専門にしている。
彼が2000年以降、関心を強めているのが制度と豊かさの関係だ。彼に言わせると豊かな国と貧しい国を分かつ決定的な要因は(政治的・経済的な)制度の違いだそうだ。Innovation and Prosperity in the U.S. と題されたこの5分程度の動画では以下の質問に答えている。
" Will the U.S. lose its superpower status to China? "
彼に言わせると、取り敢えずこの先 several decades はそんな事は無いとの事だ。
アメリカは政治的にも経済的にも制度の質を高いものへと発展させてきてる。こうした制度は何かチャレンジをしようとする人々を増やし、新たなイノベーションの発生を促進し、より豊かな国になる様に働きかける。技術進歩と経済成長の関係を分析する内生的成長理論およびpolitical economy を専門とする彼らしい考え方だ。
経済的な制度は資源配分やそれに基づく競争環境を規定する。一方、政治的な制度は権力の所在とそれが如何に制限されるかを規定する。政治的な制度が脆弱であると一部の権力者による収奪が起きたり、そうした権力を奪取すべく内紛が起きたりする。また、経済学的には望ましくない政策が採択されたりもする。そのため、非常に不安定な経済環境に陥り成長が阻害されやすくなる。こうした側面から評価してみるとアメリカはgrowth enhancingで柔軟性のある制度を持っていると言える。
一方、成長著しいものの依然として communist system を採用している中国はどうか。
確かに中国政府は millions, billions の人々をイノベーションを生み出す仕事や質の高い大学、他国の技術を取り込む仕事にぶち込もうと躍起になっているが、実際にイノベーションが引き起こされるには政治的にも社会的にも、そして経済的にもより開かれた環境が築かれる必要があると述べている。
イノベーションの源泉となるR&D投資が行われる健全な競争環境(及び適度に独占利潤が守られる特許制度など)も必要だし、知識のスピルオーバーが円滑に行われる環境(オープンな貿易、スピルオーバーの伴うFDI、高付加価値の研究者の流出入etc)も成長にとって重要だ。標準的な成長理論から考えると、こうしたことをより開かれた環境と言っているのかもしれない。
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