何回かに分けて、資本構成に関する前提と、それに関連してAPV法を見て行きたいと思います。
■DCF法の算定方法
DCF法では、ざっくり言ってこんなステップで評価を行います。
- 対象企業の事業計画から各年度のFCFを見積もる
- WACCを算定する(WACCの算定自体で一本エントリーが出来てしまうので今回は割愛)
- FCFをWACCで割引き、現在価値の総和を算定する(=事業価値)
- Net Debt (=非事業資産-有利子負債)を算定する
- 事業価値からNet Debtを差し引く(=株主価値)
今回取り上げるのが資本構成に関する前提事項で、このステップで言うとSTEP2とSTEP3に関連します。
WACCは、株式と負債の資本コストの加重平均です。資本構成によってそれぞれウェイトが付けられます。例えば、負債40%と株式60%で資金調達している会社の場合は、下記の通り算定されます。
WACC=0.4×(負債コスト)×(1-実効税率)+0.6×(株式資本コスト)
ざっくり言って上記がSTEP2に当たるパートですが、問題はSTEP3です。
通常DCF法で算定を行う際は、来期のFCFもこのWACCで割引きますし、以降の年度も同様にこのWACCで割引きます、無限期先でも同様です。
将来に渡り同じWACCを使い続ける事が何を意味するかと言うと『将来に渡り対象企業の資本構成は一定である』と言う事をDCF法ではあんに前提としているのです。
さて、この前提にたった時に、どんなケースでどんな問題が発生するでしょうか。
ポイントは負債調達による節税効果の価値です(答えを言ったようなもんか)。
次の記事でAPVに絡めてこの辺について書きたいと思います。